【翻訳】後手を選ぶべきはいつ?プロツアーチャンプからの質問状 by Craig Wescoe

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マジックでは出来る限り先手を取りたいものです。
しかしデッキやシチュエーションによっては、あえて後手を選びたい状況も考えられます。
では具体的にそれはどのような状況なのでしょうか?
また後手を取りたくなるが、選んではいけない状況はいつなのでしょう?
プロツアーチャンピオン クレイグ・ウェスコーがその疑問に答えてくれます。

一部省略、意訳を含んでいますので、是非原文も見てみて下さい。
※この記事は2014年12月に旧サイトに掲載されたものです。


あなたはダイスロールに勝った。
では先手、後手どちらを選ぶ?

殆どの人が何も考えずに先手を選ぶだろう。
しかし後手を選んだ方が勝率が上がる状況も確かにあるのだ。

今回は後手を選んだ方が良い場合の判断基準について考えていきたいと思う。
また一般的に、後手を選んだ方が良い、と言われているが実は間違っている場面についても紹介したい。

まずは後手を選んだ方が良い場合について見ていこう。

1、1ターン目に8枚カードが欲しい

マジックの歴史上、1ターン目になにもせずにディスカードしたいデッキ、がいくつか存在する。
古典的なリアニメイトデッキがそれで、まず大物を捨てて次のターンに釣る、というのは良くあることだ。
この場合、ディスカードできる、というメリットが先手を取ることよりも勝っていると言える。

ドレッジについても全く同じことが出来る。
《ゴルガリの墓トロール》をディスカードするのは、マナレスドレッジでは非常に良い動きだ。
《ライオンの瞳のダイヤモンド》を引く確率を上げてくれる、という点も後手を選ぶ動機になる。

なつかしの青黒ネザーゴー同型でも《冥界のスピリット》を1ターン目に捨てることが出来れば有利に立てる。

キューブドラフトやヴィンテージで《Library of Alexandria》が入っている場合、1枚しか入っていないので、あえて後手を選ぶ必要はない。
しかし、他にも後手を取りたい理由がある場合は、判断材料の一つとして検討しても良いだろう。

2、先に行動させることでアドバンテージを稼げる

いくつかのカードは対戦相手に対応することで効果を最大化できる。
そのようなカードが複数含まれているならば後手を選ぶ理由になるだろう。

《宝石の洞窟》は非常に分かりやすい例だ。
初手にあれば確実にプレイするだろう。
しかしながら、洞窟を入れるデッキはテンポ重視のデッキが多いので、先手が正解の事の方が多い。
大抵は後手の不利を減らすカードとして使われるだろう。

後手の方が明らかに有利に働くカードも存在する。
《土地税》《税収》《無垢の血》《悪疫》《小悪疫》だ。
はじめの2つは土地が対戦相手よりも少ない必要があるので、後手で初手にあると最高だ。
後の3つは対戦相手が展開した時に効果が最大化する。
これら5つのカード(もしくは同じような効果)を軸にしたデッキであれば、後手を選んだ方が良いだろう。

3、アグロミラーで除去が軽い

これはリミテッドでも構築でも当てはまる。
軽くて強力な除去が多数入っているならば、後手のデメリットをほとんど無くしてくれる。
後手のメリットは1枚カードを多く引けるだけだが、この場合はテンポを失うよりも得るものが大きい。
例えば、お互いのデッキに《稲妻》《ショック》《剣を鍬に》《稲妻のらせん》がフル投入されていて、かつ全てのクリーチャー刺さるとしよう。
この時、先手を取ったとしても、常に除去が飛んでくるので、テンポアドバンテージを稼ぐのは難しい。
必然的にゲームも長引くので、後攻ドロー分だけ有効牌を引く確率が高まるだろう。

現在のスタンダードは、これとは対照的な状況だ。
例えば黒単ビートダウンのミラーを仮定すると、除去が《英雄の破滅》や《胆汁病》であるのに対して、クリーチャーの殆どが1マナ(《節くれの傷皮持ち》《苛まれし英雄》《血に染まりし勇者》)なので、守る側が不利になる。
除去よりも攻め手のマナコストが低い場合、除去で場を一掃することが難しい。
またブロッカーが除去された場合には、非常に大きなテンポロスになってしまう。
そのような場合は、可能な限りアグレッシブになるべきだ。

4、マッチを決めるキーカードがある

キーカード次第で勝敗が決まるマッチアップもある。
ケレイヴ・デゥーワルド(Caleb Durward)が良い例を示してくれている。
5色ズー同士のサイド後は、あるだけの除去を投入する。
なので《聖トラフトの霊》や《最後のトロール、スラーン》を見つけるゲームとなる。
呪禁クリーチャーを先に見つけた方が勝利するわけだ。
なので後手で1枚多く引けることが重要になる。
これは妨害手段が多く入ったコンボ同士のマッチアップでも当てはまる。
コンボパーツを多く引くことが重要で、先行の有利は少ない。

5、遅いリミテッド環境

1996年から2001年頃までは、シールドでは後手が基本だった。
ミラージュ、テンペスト、マスクス、インベイジョンブロックでは、クリーチャーが弱い割に除去が軽くて強力だったからだ。
それでもドラフトでは先手だったが、シールドでは、強豪プレイヤーのシークレットテクとして、後手が選択されていた。
特にインベイジョンブロックでは、多色環境ということもあり、色事故を防ぐためにドラフトでも後手を取っていた。

最近だとM14が、小型クリーチャーが弱くゲームが長引きやすい、後手環境だった。
2マナクリーチャーが0枚で、3ターン目が初動ということも珍しくない。
4枚ドローやタイタンがゲームを決める場合も多かった。
このように、ゲームが長引きやすく、序盤のクリーチャーに攻めきられる危険性が低いときは、後手を選択した方が良いだろう。

環境が遅くなくても後手を選択した方が良いときもある。
強力なカードが揃っているが、色が散っていて(4色等)、巻き返す強力な手段(《紅蓮地獄》《ニクス毛の雄羊》《審判の日》)を持っている場合だ。
ゲームを長引かせることができれば、不安定なマナを揃えることが出来るので、そのためにもカードを多く引いた方が良い。

ここに挙げた5つの状況が全てではないが、後手を取るための検討材料にはなるだろう。
では後手を取るべきだと勘違いされがちな状況についても見てみよう。

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誤解される状況

1、コントロール・ミッドレンジのミラーマッチ

後手を取りたくなる理由は、消耗戦の末、強力なカードを引いた方が勝利する、からだろう。
しかし近年のコントロールやミッドレンジでは、この法則は崩されている。

コントロールミラーでは、どちらも《血の署名》や《予言》を採用することが多い。
これらは先手では非常に強力だが、後手で最初のスペルとしてプレイすると、手札が8枚になってしまう。
またプレインズウォーカーを巡るゲームになることも多いので、1回多く起動させられるメリットは、1枚多く引くメリットを上回っている。

ミッドレンジでも同じことが言える。
《クルフィックスの狩猟者》を先出しできることは、追加ドローよりも価値がある。

つまり、消耗戦になることが分かっていても、それを補完するカードがあるならば、簡単に1枚分のメリットはひっくり返るということだ。

2、シールドデッキ

90年代を経験しているプレイヤーは、今でもシールドでは後手を取るのが定石と考えている場合が多いが、現在はそうではない。

90年代のクリーチャーは弱く、除去は強力で、マナ基盤が不安定なことが多かった。
現在はまったく逆の状況になっているので、古参プレイヤー程、この罠に引っかかりやすい。
序盤は、除去やドロースペルを打つよりも、クリーチャーを展開した方が有効だ。
以前とは別の観点から、後手を取るべきかどうか判断しなくてはならない。

3、初心者との対戦

プレリリースなどで、トーナメントに初参加のプレイヤーと対戦することになったとする。
そうすると、土地事故しない限り勝てるだろう、と考えて後手を取ることがある。

5ターン後には、《エルフの神秘家》《ケンタウルスの狩猟者》《獰猛なベイロス》《甲鱗のワーム》とブン回られて負けているだろう。
手札にはクリーチャーも除去もあるが、使う間もなく倒されてしまう。
後手を選んだことにより、先手であれば勝てたかもしれない相手に、わざわざ負けにいったわけだ。

マジックは矛盾を孕んだゲームだ。
世界最高のプレイヤーが初心者に負けることもあり得る。
下手なプライドは捨て去ること。
土地事故の可能性は減らしたが、テンポも同時に失っているのだ。
熟練者に対して先行を取るのが正しいなら、初心者相手でもそれは変わらない。

4、イチかバチかのマッチアップ

自分よりも上手いプレイヤーが、より強いデッキを使っていて、勝率が20%しか見込めないような場面がある。
相手が事故ることを祈って後手を選ぶ人がいるが、これも間違いだ。

勝率が20%の場合、先手なら30%に出来るが、後手なら10%になる。
事故を祈ることがベストなゲームプランだと言えるだろうか?
自分のブン回りで、対戦相手の平凡なドローを粉砕する方が合理的だ。
もともと相性の悪い相手に、さらにハンデを背負いに行くことはない。
折角ダイスロールで勝ったのだから、そのアドバンテージを活かすこと!

5、対戦相手が前のゲームで後手を選択した

特にシールドでは、先手と後手のどちらを選ぶべきか確信を持てないことが良くある。
かつては後手だったが、現在は環境によって異なるからだ。

もし自分のデッキが全くアグレッシブでないなら、後手を選んだ方が良いだろう。
では1ゲーム目でダイスロールに勝った相手が後手を選んだ場合、それ以降のゲームではどうしたらよいだろうか?

もし、後手を選ぶべきだ、とあなたが考えたならそれは間違っている。
本当に後手が正解だったとしても、別の理論に基づいて決定すべきだ。
まず気にするべきは、対戦相手が後手を選んだ理由、を見つけることだ。
対戦相手のデッキが、不安定な5色デッキだったとしたら、それは十分な理由になる。
2色のアグロデッキだったとしたら、何故後手を選んだのだろう。
対戦相手は安定を求めすぎて、間違いを犯しているだけだ。
この記事を参考にして、誤った選択を根絶して欲しい。
2色アグロに3ゲームとも後手を取らせることで、勝率を最大化できる。

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結論

5つの後手を選ぶべき場面と、選らんではいけない場面を紹介したが、50%の確率で先手と後手を選ぶわけではない、ということに注意してほしい。
基本的には先手を選ぶべきだ。
ここで紹介した場面は20%にも満たないだろう。
更に言うと、後手を選ぶべき場面で先手を選んでも失うものはあまり多くないが、逆の場合はそうはいかない。
後手は、明らかにアドバンテージを稼げる、ときだけ選択する。

この記事が正しい選択の助けになることを祈っている。

最後に、Twitter上でのやりとりを紹介しよう。

私の質問
後手を選ぶべきはいつ?

Paulo Vitor
@Nacatls4Life(クレイグ)のフェイスブック上の質問「後手を選ぶべき時はいつ?」に対する私の感想は、引くことを重視しすぎている人が多い、ということだ。

Andrew Cuneo
@PVDDR @Nacatls4Life 対戦相手を蔑みたいときだけじゃないか。

議論に参加してくれた皆に感謝!
特にPVの鋭い指摘には改めて感心した。

Craig Wescoe
@Nacatls4Life on twitter


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