【翻訳】オーウェンの教える、ネクストレベルサイドボーディング・実践編 by Owen Turtenwald

引き続きChannel Fireballより、オーウェン・ツァーテンウェルドによるサイドボード論を紹介します。
前回はサイドボードの根本的な考え方についてでしたが、今回はどのような基準でカードを選択すれば良いのかという、より実践的な内容に踏み込んでいます。

一部省略、意訳を含んでいますので、是非原文も見てみて下さい。
※この記事は2014年11月に旧サイトに掲載されたものです。


先週の記事が思いのほか好評だったので、より深いところまで話をしよう。
サイドボーディングについては色々な人に質問されるし、非常に応用の効く分野だが、本当に重要なことは何点かに集約される。

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多面性

サイドボードを考えるにあたっては、このカードは別の方法でも役に立つか、ということを意識する。
例えばモダンの親和で《呪文滑り》や《真髄の針》は妨害手段としてだけでなく、《電結の荒廃者》や《頭蓋囲い》でのダメージ源にもなる。
さらに《呪文滑り》は、安心して《電結の荒廃者》にオールインする手助けにもなってくれる。
ストームデッキ対策を《法の定め》にするか《弁論の幻霊》にするか迷った場合、色々な判断材料があるが、最終的には自分のデッキとの相性で決定する。
《出産の殻》デッキであれば幻霊を選ぶだろうし、ジェスカイコントロールであれば、焼かれないという点で法の定めを選ぶだろう。

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信頼性

そのサイドカードが簡単に対策されない、ということも同様に重要だ。
例えばモダン親和で、相手が《古の遺恨》を4枚サイドインしてくる場合、《真髄の針》は対策カードとしては非常に頼りない。
これは他のカードにも当てはまることで、対戦相手がこちらのサイドカードの無力化する手段を持っているか、を常に注意するべきだ。

違った角度から攻めることもポイントだろう。
相手に除去されない、マッチアップを有利にするカードが理想的だ。
何とかして相手のカードを弱める、あるいは完全にプレイできなくさせる、ことに全力を傾けなればいけない。
レガシーで《タルモゴイフ》や《死儀礼のシャーマン》を止めるために《安らかなる眠り》を入れてもあまり上手く働かないことがある。
メインデッキから4枚入っている《突然の衰微》の良い的になってしまうからだ。

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インパクト

サイドカードは相手のプランを崩壊させるものでなくてはならない。
忘れられないのはGPワシントンでのトップ8がかかったマッチ。
対戦相手はマナレスドレッジで、一本目は相手のワンサイドゲームだった。
二本目は後手を選択し、相手は何もせずパス、こちらも土地を置いてパス、相手は2ターン目にドローしてディスカード、こちらは2枚目の土地を置いて《安らかなる眠り》、その瞬間に相手が投了。
三本目は相手が後攻でゲーム開始時に《別館の大長》を公開。
こちらは土地をプレイして、相手はディスカード、2ターン目に2枚目の土地を置いて《墓掘りの檻》をプレイして追加のマナを支払う、その瞬間に相手が投了。
デルバーデッキで2ターンキルは滅多に起こらないが、対戦相手のデッキはこちらのサイドカードへの対策が入っていないために、結果としてそうなってしまった。

例えば対戦相手のデッキが40枚の《溶岩の撃ち込み》と20枚の山だった場合、《聖なる蜜》は何をおいてもサイドインされるカードだろう。
しかし《赤の防御円》があるならばそちらを優先するし、3枚以上《神聖の力線》があるなら尚良い。
どんなマッチアップでも勝ち方は複数存在するし、その中から最も起こりそうな方法を見つけるのがマジックのスキルだ。
青いデッキに対して、《紅蓮破》で1対1を取っていくしか選択肢がない場合もあるが、緑デッキに対する《殺戮》のような働きをするカードは本当に無いだろうか。
そのような選択肢は多くないので、注意深く活躍する機会を狙い続けるべきだ。

柔軟性

対策しなければいけないデッキが多いとき、サイドボードの選択肢が多くなりすぎて困ることも多い。
まず考えるべきなのは、そのマッチアップで役に立たないメインボードのカードを見つけることだ。
コントロールデッキに対して、全ての除去を抜くのは勇気がいるかもしれないが、そこから得られるものは大きい。
また同じように働くカードの選択肢が複数あるときは、ほんの少しでもいいから役に立つ可能性が多い方を選ぶ。
例えばクリーチャーが入っていないデッキ相手に《破滅の刃》の入れ替え要因としては、《真髄の針》よりも《ファイレクシアの破棄者》の方を選ぶだろう。
毎試合、そのマッチアップで引きたくないカードをサイドアウトできたなら、上手く構築できたという証になる。
全てのサイドカードが柔軟性を持っていて、複数のマッチアップで活躍している、ということだからだ。

先週も説明したが、勝ち筋を明らかにして、それにつながるカードをプレイすることが重要だ。
これの良い例は、ジェスカイデルバーのサイドに、4枚の《翻弄する魔導士》を入れることが挙げられる。
青いカードの枚数を水増し出来るので、コンボデッキに対して《Force of Will》の信頼性を高めることにもつながるからだ。
また妨害手段としてだけでなく、ビートダウン戦略を取りやすくなる、というのも大きなメリットだ。
それをバックアップする手段が入っているなら、なおさら妨害手段はクリーチャーの方が良いだろう。
例えばスニークショー相手に、魔導士に加えて《赤霊破》を入れることで、《実物提示教育》に対しても回答を用意することができる。
除去手段の入っていないエルフに対して、魔導士で《自然の秩序》を止めるのは正に完璧だ。

節度

ゲームプランを変えるほどサイドインするのはリスキーだ。
例えば攻め手の多くを抜いて防御的なカードと入れ替えた場合、対戦相手が多くの除去を引いてしまうと、こちらの勝利手段がほとんど無くなってしまう。
私自身でも同じような経験があるが、最高の手札が来ない限り勝つことが出来ない、と気づいたときには大抵手遅れだ。
どのカードが対戦相手の除去手段に弱いクリーチャーで、効果的に働く除去はどれなのか、論理的に見定める必要がある。
活躍する場面が少ないカードをいれることは大きなリスクだ。

相性が良い相手に対しては、あまり抜き過ぎないことも同じぐらい重要だ。
トップメタのデッキに既に相性が良いにも関わらず、考え無しに5枚も6枚もサイドを取ってしまうと、いざ対戦が始まってみると抜くカードが無く、結局サイドインしないという場面もよく起こる。
これは絶対に避けなければいけない最悪の状況で、サイドボードの枠の価値を考え直す必要がある。

関連性

サイドボードを構築する際は、数が多かったり、活躍しているデッキを意識することも心がけている。
明日スタンダードのトーナメントに出るとしても、8枚アブザン用に、7枚ジェスカイ用にサイドを取る、ということではないが、確実に相性を改善できるプランは必要だ。
黒単アグロの様なデッキは数が少ないし、トップテーブルに残っている可能性も低いので、あまり気にすることはない。
私の経験上、トップメタのデッキとの相性が良ければ、数が少ないデッキとのマッチアップが厳しくても、最終的には良い結果になることが多い。

サイドボードを構築する際には、どのデッキに対して有効で、意外性があり、柔軟で用途が広く、どのメインボードのカードを抜くべきか、を常に念頭に置いている。
サイドボードはアーミーナイフの様に、予想したあらゆるデッキに対して有効に働くようにしなければいけない。

この文章を読んでいるということは、あなたはサイドボードの構築においても、サイド後の戦略についても十分な時間をかけられていない、という自覚があるのではないか。
でもそれは、私も同じように感じているこでもあるのだ!

Owen Turtenwald

qazwsxedcrfvtgbyhnuj on Magic Online


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