【翻訳】ジュザのモダンマーフォーク解説 by Martin Juza

Channel Fireballより、マーティン・ジュザ(Martin Juza)による、モダンのマーフォークデッキの解説です。
デッキに入っている各カードについて詳しく解説しています。
サイドボードガイドもあります。
一部省略、意訳を含んでいますので、是非原文も見てみて下さい。
※この記事は2014年7月に旧サイトに掲載されたものです。

GPボストンが目前に迫っているが、まだデッキを決め切れていない人も多いのではないだろうか。
私は2,3個お気に入りのデッキを持っているが、今日はその一つを紹介しよう。
モダン環境には非常に多くのデッキがあるので、一つのデッキを使い込んで戦い方を習熟させることが非常に重要だ。
このリストは、ずっとマーフォークを使っているPetr Sochurekのもので、重要な点を全て教えてもらった。
モダンのベストデッキになり得るが、正しくプレイするのがとても難しいデッキでもある。
マナカーブに沿って展開すれば良いように見えるかもしれないが、実際は毎ターン難しい選択をする必要がある。

これがデッキリストだ


14:《島/Island》
4:《変わり谷/Mutavault》
1:《雲の宮殿、朧宮/Oboro, Palace in the Clouds》
1:《水辺の学舎、水面院/Minamo, School at Water’s Edge》
4:《呪い捕らえ/Cursecatcher》
4:《アトランティスの王/Lord of Atlantis》
2:《メロウの騎兵/Merrow Reejerey》
4:《銀エラの達人/Silvergill Adept》
2:《大いなる玻璃紡ぎ、綺羅/Kira, Great Glass-Spinner》
4:《波使い/Master of Waves》
4:《真珠三叉矛の達人/Master of the Pearl Trident》
2:《差し戻し/Remand》
3:《四肢切断/Dismember》
4:《霊気の薬瓶/AEther Vial》
4:《広がりゆく海/Spreading Seas》
1:《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
2:《蒸気の絡みつき/Vapor Snag》

サイドボード
2:《白鳥の歌/Swan Song》
3:《呪文貫き/Spell Pierce》
4:《地盤の際/Tectonic Edge》
3:《潮縛りの魔道士/Tidebinder Mage》
1:《四肢切断/Dismember》
1:《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
1:《大いなる玻璃紡ぎ、綺羅/Kira, Great Glass-Spinner》


いくつかのカードについて解説していこう。

呪い捕らえ
4:《呪い捕らえ/Cursecatcher》
このスロットをコーシのペテン師している人もいるがそれは間違いだ。
デッキの対応力を上げてくれるだけでなく、特にトリココントロールに対しては、キーカードである銀エラの達人や綺羅をプレイしやすくしてくれるし、ロードを電解から守ったりもできる。
トロンに対しても紅蓮地獄をケアすることで、忘却石の前に殴り切ることを可能にしてくれる。
使っている側からは何もしていないように見えるかもしれないが、対戦相手からすると重要なスペルを邪魔する嫌な存在だ。
その意味で毎ターン盤面に影響を及ぼしていると言えるだろう。
大いなる玻璃紡ぎ、綺羅
2:《大いなる玻璃紡ぎ、綺羅/Kira, Great Glass-Spinner》
綺羅は現在のメタでは非常に有効で、3枚目を取っても良いぐらいだ。
緑黒やトリコなどのフェアデッキが多いだけでなく、双子に対しても役に立つ。
2枚にしている理由は、サイド後に真価を発揮するのと、殻やストームに対して意味が無いからだ。
またレジェンドなので手札に溜まることも防ぎたい。
この能力は対象に取った時に発動するので、相手の行動に対応して薬瓶で出しても意味が無いことに注意!
除去をケアするためには先出ししておく必要がある。

このカードは他にも面白い使い方ができる。
例えばダメージレースをしていて、変わり谷をブロッカーとして使いたい場合。
相手のアップキープにクリーチャー化することで、地盤の際や幽霊街から守ることが出来る。
また綺羅が2回対象になったときは、対応して薬瓶から2枚目を出し、1枚目をレジェンドルールで墓地に落とせば、電解や稲妻のらせんをフィズらせることが出来る。

メロウの騎兵
2:《メロウの騎兵/Merrow Reejerey》
騎兵はテンポが重要で、除去が少ないデッキ(殻、ストーム、ヘイトベアー)に非常に強く、綺羅と差し替えたいぐらいだ。
もし2枚手札にあり、2マナのカードが多い場合(2:メロウの騎兵、2:アトランティスの王、1:呪い捕らえ、2:島)、2ターン目に呪い捕らえはプレイしない方が良い。
もう一枚土地を引くことが出来れば、4ターン目に2枚目の騎兵を出して島をアンタップして呪い捕らえをプレイ、さらに2枚アンタップして手札を全て展開出来る。
もちろん薬瓶や攻撃したクリーチャーをアンタップさせても良いだろう。
差し戻し
2:《差し戻し/Remand》
マナ漏出や呪文貫きと比較になることが多いが、私は差し戻しの方がこのデッキに合っていると思う。
マーフォークはクリーチャー主体のシナジーデッキで、スペル枠を多く取ることが出来ない。
しかし一方で、死せる生、風景の変容、スフィンクスの啓示など確実にカウンターしたい場面もある。
差し戻しの利点は妨害しつつ、カードを引ける点に尽きる。
出産の殻のようにマナ漏出で確実にカウンターしたいカードもあるが、モダン環境ではテンポとカードアドバンテージが何よりも重要なのだ。

もう一枚、差し戻しを持っていれば、次のターン更にテンポを取ることができる。
また謎めいた命令でカウンターされた場合には、自分のスペルを差し戻せば、テンポは失うがアドバンテージを稼ぐことが出来る。

大祖始の遺産
1:《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
メインデッキに入れるカードではないと思うかもしれないが、現在のメタだと効果的なマッチアップが多い。
タルモ、瞬唱、軟泥対策になり、殻やリビングエンドのコンボも止めることが出来る。
効かない相手には、1ターン目や3ターン目にマナが余ることが多いので、適当にサイクリングすればよいだろう。
通常、対戦相手の選択肢を少なくするために、自分のターンに起動すること。
薬瓶にカウンターを乗せるべきか微妙な時は、アップキープに生贄にしてもよいだろう。
波使い
4:《波使い/Master of Waves》
思考囲いに弱いこのカードには懐疑的だった。
対戦相手が除去を持っていれば残されるし、持っていなければ捨てさせられるだけだ。
また土地が詰まっていれば死に札になるし、4ターン目以降の囲いの有効性も増してしまう。
しかしそれらのデメリットを考慮しても一枚で勝ちに行けるのは魅力的だ。

もし薬瓶と2枚の波使いがある場合、先にマナを払ってプレイし、相手の除去に対応して2枚目を出すとトークンを守ることが出来る。
広がりゆく海が信心を稼ぐことや、変わり谷を強化することもお忘れなく。

広がりゆく海
4:《広がりゆく海/Spreading Seas》
島渡りで自分のクリーチャーをアンブロッカブルにしてくれるキーカードだ。
特に緑系の相手に有効。
それ以外のマッチアップではサイドアウトすることが多いが、役に立たないということも無い。
双子に対しても複数枚引けば有効に働くだろう。
相手の手札にある土地が分からない場合、どこに貼るかは非常に難しい問題だ。
私は序盤のテンポを失わないためにも、4~5ターン目に1枚目の海を貼ることが多い。
対戦相手がマリガンをしているのでなければ、これで色事故してくれると期待しない方が良いだろう。
自分がマリガンして他にすることが無い場合は、事故を祈りながら打たざるを得ないし、複数引いたときはなおさらだ。

ジャンドに対しては、ライフをケアして基本土地をフェッチしているのでなければ、ミシュラランドに貼るのが良いだろう。
マーフォークはハイパーアグレッシブなデッキだと思われているが、実は隙をついて瞬殺するミッドレンジアグロだ。
明らかに神々の憤怒やリリアナ、クルフィックスの狩猟者を持っているときは色マナを縛った方が良い。
戦闘中に、突然の衰微やゴルガリの魔除け、召喚の調べからのクァーサルの群れ魔道士や調和スリヴァー、で割られてブロックされる可能性も常に意識すること。

四肢切断蒸気の絡みつき
3:《四肢切断/Dismember》、2:《蒸気の絡みつき/Vapor Snag》
対コントロールを意識しなければ四肢切断を4枚にしたいところだが、自分のクリーチャーを除去から守る可能性を考えてこの枚数にしている。
特に絡みつきは電解に対して有効だ。
メイン戦はサイド後と比較して相手の除去が少ないので、1枚ぐらいあまり役に立たないカードがあってもそこまで問題にならないだろう。
霊気の薬瓶
4:《霊気の薬瓶/AEther Vial》
このデッキで最も複雑なカード。
自分のターン中にロードを出すプレイヤーが多いが、必ずしも正しいプレイとは言えない。
こちらのターン中に除去されることで、対戦相手は自分のターンにも除去を構えることが出来てしまう。
相手のエンドまで待つことで、銀エラにようにそれほど重要でないクリーチャーに除去を打つか選択を迫ることが出来る。与えるダメージは減るが、全体除去へのケアにもなる。
波使いのためにカウンターを2から4に増やすときなど、アップキープ中に起動してから載せることも多い。
ヴェンディリオン三人衆を誘うために、手札にクリーチャーがいないときに起動するテクニックもある。
しかし電解でロードを除去される可能性があるときは、このブラフはしない方が良い。
手札に1枚ロードがいて、カウンターが2と4の薬瓶が出ている時、まず4から起動すると相手は波使いをケアしてヴェンディリオンをプレイする。
それに対応してロードを出すと良いだろう。手札が空の時はカウンターは2つでキープするのが安全だ。
2マナが多いだけでなく、銀エラの達人をプレイ出来るからだ。
波使い以外に回答が無いときは、引くことを期待して4まで載せてしまおう。
対戦相手がマナリークを構えていて5マナ以上あるときも、波使いのために4にすると良い。
アトランティスの王真珠三叉矛の達人
4:《アトランティスの王/Lord of Atlantis》、4:《真珠三叉矛の達人/Master of the Pearl Trident》
ロード達は最も重要で、除去の的になりやすいので可能な限り遅いターンにプレイしよう。
特にコントロールデッキ相手には、呪い捕らえや銀エラ、変わり谷だけで攻撃すると、対戦相手は除去を温存するべきか難しい判断を迫られる。もちろんゲーム展開によって例外もある。
2ターン目に呪い捕らえを引き、手札にロード、銀エラ、島、変わり谷とある場合は、3ターン目に銀エラと呪い捕らえをプレイしたいので、ロードから出した方が良いだろう。
トロン相手には紅蓮地獄をケアして、ロードを2枚並べることを優先する。
殻相手にも、オルゾフの司教をケアしてロードを優先してプレイするし、タフネスが3になればレッドキャップも避けることが出来る。アトランティスの王と真珠三叉矛の達人は基本的に違いが無いが、変わり谷、ヴィダルケンの枷、不忠の糸をプレイしてくる相手には意識した方が良い。
雲の宮殿、朧宮水辺の学舎、水面院
朧宮と水面院は窒息へのささやかな抵抗だ。
血染めの月に対しては弱いが、メインに入れているデッキは少なく、サイドインしてくる相手もいないだろう。
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サイドボード

サイドボードの話をする前に、このデッキは親和に勝てないことに触れておきたい。
モダンは多くのデッキが存在するので、どうやっても不利なデッキが出来てしまう。
対親和に大量のサイドボードを割くこともできるが、そこまでする必要は無いと判断した。
また気持ち程度に2枚ハーキルの召還術を入れてもスペースの無駄になるだけだろう。
四肢切断
1:《四肢切断/Dismember》
ジャンドや殻などのミッドレンジに対するベストカード。
後手番の闇の腹心には絶対に対処したいので4枚にする。
白鳥の歌呪文貫き
2:《白鳥の歌/Swan Song》、3:《呪文貫き/Spell Pierce》
基本的にはコンボ対策で、リビングエンド、スケープシフト、むかつきなどにサイドインする。
白鳥の歌は、双子相手にはサイドインしないように注意!
潮縛りの魔道士大いなる玻璃紡ぎ、綺羅
3:《潮縛りの魔道士/Tidebinder Mage》、1:《大いなる玻璃紡ぎ、綺羅/Kira, Great Glass-Spinner》
綺羅は除去を増してくる相手との消耗戦、特にトリココントロールに有効。
潮縛りは緑のクリーチャーに強いだけでなく、渋面の溶岩使い対策としても。
地盤の際
4:《地盤の際/Tectonic Edge》
メインデッキに入るカードをサイドボードに置くことは、スペースの無駄だと考えるかもしれない。
しかし2ターン目に青青が確実に欲しいこのデッキでは、メインに入れるべきではないと考えている。
かといって地盤の際が活躍するマッチアップでは、引けば引くほど強さが増すので1,2枚では本末転倒だ。
なので4枚か0枚にすべきだろう。
このデッキは手なりにプレイするアグロではない。
盤面を支配して勝つデッキなので、アドバンテージを失ってまでダメージを与えに行く必要は無い。
相手が対策カードを持っていないことを期待してブッパするよりは、ケアして動いた方が良いだろう。
例えば対戦相手のライフが14で、こちらの場にロードが2枚、手札にも1枚持っているとする。
至高の評決を打たれる可能性が少しでもあるならこのターンは2体でアタックし、手札に温存した方が良い。
次のターンに3枚目をプレイして残りのダメージを削りにいく。
もしライフが15であった場合は、1ターン縮めるためにプレイした方が良いだろう。

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使わなかったカード

呪文滑り
《呪文滑り/Spellskite》

双子相手にしか使い道が無く、既に相性が良いので不要。
緑白オーラにも強いが絶対数が少ないのでサイドを割くほどではない。
トリココントロールの稲妻や電解を曲げることもできるが、アタックできないし、至高の評決に巻き込まれてしまう。

幻影の像

《幻影の像/Phantasmal Image》
電解、やっかい児、レッドキャップなどが環境にあふれているので抜くことにした。
銀エラや騎兵とシナジーが無く、コピー対象がいないこともある。
綺羅との相性も悪い。
波使いとの相性は素晴らしいが、双子が一定数いる現状では必要無いだろう。

海の神、タッサ

《海の神、タッサ/Thassa, God of the Sea》
強いときはオーバーキルで、弱いときは相手にタイムウォークを与えているようなもの。

珊瑚兜の司令官

《珊瑚兜の司令官/Coralhelm Commander》
除去が多いのでレベルアップに合わせられると最悪。

川の殺し屋、シグ

《川の殺し屋、シグ/Sygg, River Cutthroat》
真の名の宿敵やヴェンディリオンがいるレガシーなら使いたいがモダンでは不要。

マナ漏出

《マナ漏出/Mana Leak》
前述の通り差し戻しの方が有効だと考えている。
瞬唱のことを考えるとなおさら。

はらわた撃ち冬眠

《はらわた撃ち/Gut Shot》、《冬眠/Hibernation》
サイドボードはなるべく受けを広く取りたいと考えている。
幅広いデッキに対して有効なカード選択が、サイドボードをより良いものにしてくれる。
例えばジャンドには差し戻しと薬瓶がとても弱いので、絶対に6枚はサイドアウトする。
接戦になることが分かっているので、何もしないカードの枠に、勝利に貢献するカードをサイドインする必要がある。

色を足すのは良い選択とは考えていない。

流刑への道は蒸気の絡みつきや四肢切断に劣るし、シナジー重視のデッキに思考囲いは似合わない。
闇の腹心は魅力的だが、相手が除去を持っていなければどちらにせよ勝利できるだろう。
稲妻はタルモを殺せないし、血染めの月よりも地盤の際の方が強い。
またクリーチャーデッキとは接戦になるので土地でダメージを受けたくないという理由もある。
明日はマッチアップごとのサイドボードガイドをお届けする予定だ!
読んでくれてありがとう。

Martin Juza


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